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新英語教育研究会神奈川支部HP

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もうすぐ17才 Sixteen Going on Sevente

■ もうすぐ17才 Sixteen Going on Seventeen
No.95 2003.3 Sixteen Going on Seventeen

■ 今こそ『サウンド・オブ・ミュージック』を

 映画『サウンド・オブ・ミュージック』の歌はどれも発音がはっきりしており、歌詞に破綻がなく、文法項目も充実しているので、授業に扱うにはもってこいだと思う。ところが20代の人たちはこの映画を見ていないらしい。ショックである。30代の私にはおなじみの映画であり、テレビの音声をカセットテープに録音して繰り返し聞いてセリフまで覚えたというのに(最近、新しい吹き替えになってしまって残念。武藤礼子さんのマリアがお茶目でよかったな)。この記事を機会にぜひ教室でどんどん取り上げて頂いて、10代の人たちに知ってもらいたい。
 この映画、アメリカによる戦後の反ナチスのプロパガンダ映画にすぎないとシニカルな見方をしてしまうとそれまでだが、それだけに終わらないあらゆる普遍的なテーマが盛り込まれている。戦争が市民生活に落とす影、思想・信条を貫くことの難しさ、自信を持つことの大切さ、自己実現、歌の持つ力、若者の恋、大人の恋、子供と親の関係…、こんな教育的な映画が他にあるだろうか? 

■効果的な編曲

 同じ曲がアレンジされて効果的に使われるのがこの映画のいいところだ。オープニングでマリアが丘の上で歌う『サウンド・オブ・ミュージック』が子どもたちの美しいハーモニーで寂しそうに歌われたり、雷騒ぎのさなかで歌う『私のお気に入り』がナチに追われるBGMで流れたり。くり返し使われるので自然とメロディーを覚えてしまう。
 『もうすぐ17歳』は2回歌われる。映画の前半、大佐の長女リーズルが恋人のロルフと雨の降る庭で歌うシーンでは、恋のよろこびが画面いっぱいにあふれてくる。(今年の冬、サントリーの「カフェラテ・ホット」のテレビコマーシャルに使われている)
 そして映画の後半、ロルフがナチの党員になって離れていき、悩みを打ち明けるリーズルに母となったマリアが「1年か2年待ってみて」と諭しながら歌う。歌の最後でWait a year or two.と母娘2人でハモるのシーンが秀逸。

■歌のメッセージ(1):青春讃歌

 「君は世間知らずだから」とロルフに言われ、「私16よ。何でも知ってる大人だわ」と言い返すリーズル。恋する2人がからかい合いながら歌うシーンは見ている私たちの心をワクワクさせてくれる。歌の途中で雨に降られ、びしょ濡れになり、踊り終わって見つめ合ってキスする2人。リーズルはあわてて駆け出すロルフを見送りながら、日本語版吹き替えでは「ブラボー」と叫ぶのだが、実際の英語版では「ヒィーッ」と奇声をあげる。初めてのキスで歓声をあげるとは! さすがアメリカ映画、はじけてますね。

■歌のメッセージ(2):タイミングの難しさ

 映画の後半、恋に暗雲がたちこめる。「愛って、思い通りにならないものよね。愛する人が去っていくときもある。そんなとき、一人でどうしたらいいの?」と訴えるリーズル。「ちょっとだけ泣くの。そして待つの。太陽が昇るまで。」と語りかけながら歌い出すマリア。この2人のやりとりは小学生の時に初めて観た時にもこころに沁みた。そして「1年か2年待つと何かいいことでもあるのかな?」なんて人ごとのように思ったっけ。
 人生30代まで来ると「潮時」「タイミング」「間の悪さ」など、時をめぐる「妙」が骨身にしみてよくわかる。ジタバタしてもダメなものはダメなのだ。恋愛、仕事、イジメ、家族の問題。その場で解決できないことはその場でいくら取り繕ってもダメなのだ。「仕切り直し」「場を改める」など「場」を変えるか、時間をおいて自分自身が成長するか、全くあきらめるか…。いずれにしろ変われるのは自分。他人じゃない。(すみません、得意の「自分で言って自分で納得」のパタンです。)
 
■歌の扱い方(1):韻に注目する

 韻を踏んでいる部分を( )とし、穴埋めしながら聞き取り教材として用いても楽しい。注目していただきたいのは、ロルフはTimid and shy and scared are youと歌うので韻を踏まないが、リーズルはTimid and shy「シャイ」and scared am I「アイ」と韻を踏む。こんなところもシャレている。
stage / page    light on / write on
line / wine     lads / cads
meet / sweet     naive / believe
dandies / brandies   rose / those
shy / I       men / ken

■歌の扱い方(2):語法や表現に注目する
(1) 好き嫌いや恐怖などの意識を表す形容詞+of
 You are scared of things beyond your ken.
scared of ~「~を恐がって…」
afraid of ~「~を恐がって…」
frightened of ~「~におびえて…」
conscious of ~「~を意識して…」
aware of ~「~に気づいて…」
fond of ~「~を好んで…」
(2) 自動詞+of「~に関して」
What do I know of those?
know of ~「~に関して知っている」
hear of ~「~に関して耳にする」
think of ~「~に関して考える」
(3) 形容詞+to do
You are totally unprepared to face the world of men.
unprepared to do 「~する用意が出来ていなくて…」
ready to do 「~する用意があって…」
(4) SVOCの構造
You wait for fate to turn the light on.
wait for+O+ to do「~が~するのを待つ」
depend on+O+ to do「~が~するのを当てにする」

タイトル 映画「サウンドオブミュージック」オリジナル・サウンドトラック(発売元BMGビクター株式会社)
値段 3200円
CD番号 R32P-1066(PCD1-2005)

1. Rolfe:「お嬢さん、君はなにもない舞台の上で
運命がライトを照らすのを待っている
2. お嬢さん、君はなにも書いていない頁
男はそこに書きたがっているのさ…」
3. Liesl: 「そこに書き込んでいく…」
4. Rolfe: 「君は16、もうすぐ17
5.ねえ、考えなくっちゃ
6. 警戒した方がいい
7. 慎重に注意深く。
8. ねえ、瀬戸際に立っているんだよ。
9. 君は16、もうすぐ17
10. 野郎どもが列をなす
11. 意気盛んな若者
遊び人や下種[げず]どもが
食事とワインを勧める
12. まったく無防備なんだ、君は
男性の世界に面と向かうのに。
13. 臆病で恥ずかしがり屋で
怖がりなんだ、君は
自分の知らないことに関して。
14. 君には年上で賢くて
何をしたらいいか言ってくれる人が必要だ。
15. 僕は17、もうすぐ18
16. 君の面倒を見るよ」
17. Liesl: 「私は16、もうすぐ17
18. そうね、私は世間知らずね。
19. 出会った男の人が
君はステキだと言ったら
すぐに信じそう
20. 私は16、もうすぐ17
21. バラのように無垢
22. 独り者やしゃれ者や
お酒のみ
こんな人たちの何を知っているかしら?
23. まったく無防備なの、私は
男性の世界に面と向かうのに。
24.臆病で恥ずかしがり屋で
怖がりなの、私は
自分の知らないことに関して。
25.私には年上で賢くて
何をしたらいいか言う人が必要だわ。
26. あなたは17、もうすぐ18
27.あなたにお任せするわ」


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